高1 能楽鑑賞会事前講義
2月19日(月)に行われる能楽鑑賞会の事前学習として、2月17日(土)に高等科1年生対象の「事前講義」が行われました。
初めて能楽に触れる生徒の多い高等科1年生は、能楽鑑賞会に向け、じっくりと準備を行ってきました。冬休みには、書籍やインターネットを利用した調べ学習を行い、3学期の国語の授業では、竹西寛子氏の書いた文学評論を読み、世阿弥の『風姿花伝』がどれだけ素晴らしい芸術論であるのかを学びました。毎年、能楽師の先生からお話をうかがうことのできる「事前講義」は、生徒たちが能楽の魅力を体感する貴重な機会となっています。
今年は観世流能楽師の林本大先生が大阪から講師として来校くださいました。舞や謡をご披露くださったほか、本物の面を見せていただきながら能の歴史から所作や姿勢など、親しみやすく手ほどきくださいました。また、生徒からの質問にもお答えくださり、大変貴重なお話を聞くことができました。
以下に高1生徒の感想を掲載します。
専門の方にお話を伺う前に調べ学習を行ったことが功を奏し、私は林本さんのお話でしっかりと理解を深めることができました。個人で能楽について調べた際、私は楽器・舞台装置に着目し、「能」の舞台を形作るその全体的な雰囲気を考察しました。一方で林本さんは「芸能人」の方から見た観点、能の元来の姿や演目の種類等、私が調べきれなかった・知りえなかったことを多く説明してくださったため、とても有意義な時間を過ごすことができました。林本さんのお話は、初心者たる私たちがどのようなことに興味を持つかに心を砕いて説明くださったため、明確でありそれでいて続きを知りたくなるような小話にも富んでいました。
お話を伺っていてとても身につまされる思いだったことは、「日本語で歌舞劇、といっても伝わりにくいですが、外来語のミュージカル、というと途端に伝わる。不思議ですね。」とおっしゃったことです。私はこのことは決して肯定的にとらえてはならないと思います。それの意味するところは、日本人ですら日本の伝統芸能について正しく理解しておらず、ずっと続いてきた伝統をなくしかねない、ということの裏返しであると考えるためです。外来語を積極的に使う私たちは、段々と日本語での表現を喪失しつつあることに気づけなくなっています。日本の伝統芸能は日本語で正しく説明してこそ、後世に残る大切なものとしての価値を維持しうるのではないでしょうか。日本のことは美しい日本語で、調べずともあらかたを説明できる大人になることを目指し、私はもっと意欲的に日本の文化を知ってゆかなければならない、そのような考察を得られた事前学習でした。
最後に、貴重なお時間を割いて私たちに講義をしてくださった林本さん、この場を作ってくださった先生方含めたくさんの方々に厚く御礼申し上げたく思いました。ありがとうございました。
シオリ(泣く演技)を皆で実践しました。