英国チェルトナム・サマースクール体験記

8月2日から8月16日にかけて、高等科2年生8名と中等科3年生7名の計15名でチェルトナム・ レディース・ カレッジのサマースクールに参加してまいりました。深夜便で飛び立つといよいよまだ見ぬ世界への一歩を踏み出したのだという実感がわき、遠ざかっていく街の光に背中を押されたような気持ちがいたしました。少人数ながらも不安はあまりなく、寝静まる機内にはやわらかな期待の気配ばかりが満ちていたことを覚えております。
ヒースロー空港に着くと、私の目の前には全く新しい景色が広がっておりました。喧騒からぽつぽつ聞こえてくる言葉のどれもが日常の中の英語として訴えかけてくるのです。はやる気持ちで胸がいっぱいになりましたが、チェルトナムの静かで美しい街並みを見た時、その柔らかに迎え入れてくれるような様子に地に足がついたような深い安堵を覚えました。
私たちの朝は、ハウスと呼ばれる寮で始まります。二週間のタイムスケジュールは基本的に午前中が授業、午後は遠足と毎日やることでいっぱいでしたが、ハウスでリラックスしていると明日もまた頑張ろうというやる気が湧いてくるのを感じました。上品で広々とした部屋で窓から眺めた朝焼けはとても美しく、今も私の脳裏で鮮明に蘇ります。
挑戦すること。それを継続しようと努力すること。これは私が今回のサマースクールで強く意識したことです。サマースクールや短期留学を終えた友人に話を聞くと、大抵の場合返事は「英語を使ういい経験になった」という人と、「あまり使わなかったけれど楽しかった」という人に二分されていました。私自身参加するまで分からなかったことですけれど、やはりこの差は挑戦した人とそうでない人という一点に尽きるのだと思います。授業に意欲的に取り組んでいる同級生や後輩の姿は一等眩しく、熱意というのはここまで形に現れるものなのかと密かに驚いてもおりました。サマースクールに参加するという決断自体が私にとっては大きな挑戦でしたが、そこで終わらず言葉に迷いながらでも英語で沢山話す仲間の姿を見ていると、自然と自分ももっと頑張ろうという気持ちになりました。瞬く間に波及した
この熱は最終日まで消えることなく、全員が英語とより親身になろうと努力することができたと思います。休み時間には庭に出てイギリスで人気のビスケットを食べながら他校の生徒とも談笑しました。
私が一番楽しみにしていた時間は先生と話しながら食べる昼食です。午前中の授業はいきなりされた質問についしどろもどろになってしまうのですが、この時間は皆でゆっくり話すことができるのでスムーズに会話が進みました。授業中に聞くことができなかった疑問や質問、伝わりきらなかったことについて勇気を出して話すと、そのたびに先生が言葉の限りを尽くして褒めてくれました。結局伝えきれなかったことも幾つかはあります。けれど先生は10の伝えたいことのうち、0のまま黙ってしまうのではなく1でも2でも挑戦して話してくれたことが何より嬉しかったのでしょう。最初は頭の中をするする滑っていくだけだった先生の英語が日を追うにつれ明確な意図を持った言葉として理解できるようになっていく喜びは、学びへのモチベーションにも直結しました。
チェルトナムはもちろんのこと、ストラトフォード、ロンドン、オックスフォードなど、午後は沢山の都市を散策しました。同じ国でも場所によって人々の雰囲気にはまるで違ったものがありましたが、⾧い歴史に敬意を持って発展してきた街並みであると感じました。ハウスで一緒に生活している現地スタッフの方々の説明に時折質問をはさみながら歩いていくと、写真で見ていた時とは比べ物にならない重厚感をもって町全体が生き生きとして見えました。
リサイクルの資源で作るファッションショー、ダンス、他校を交えた歌のコンテストやラウンダーズの試合など、チェルトナムの生徒としての経験も沢山させていただきました。少人数でいろんな出来事を体験していくうちに、同級生だけでなく後輩とも仲を深めることができました。特に一班5人で編成されたカラーグループ内の結束はとても強く、班を引率する現地スタッフには皆熱心に話しかけました。私も例外でなくチームの引率者だったリサが大好きですし、チームの皆と作った思い出は言葉では言い表せないほど楽しく、感謝したいことばかりです。学校だけでなくハウス内でも現地スタッフと常に英語を使う機会があったので、学年を超えて支えあいながらもそれぞれが自らの成⾧と今後の課題を見つけられました。
月並みな言葉ではありますが、私にとってチェルトナムで過ごした二週間は本当に夢のように素晴らしいものでした。イギリスは日本よりずっと日の落ちるまで⾧いということ、アメリカの発音でトマトといっても全然伝わらないこと、absolutely が同意を示すときによく使われること、Let's go の代わりにOff we go と使うこと。異国の息遣いを肌で感じ、日本にいたら知ることのなかったそれらは気づけば私の日常として確かに根付いていたのです。知りたいことや学びたいことがどんどん増えるせいで、出発前には⾧く思えた2週間は最後にはあまりにも短いと惜しむ気持ちでいっぱいでした。
イギリスを発つ最後の夜、涙の止まらない私をリサはやさしく抱きしめ、また会うことを約束してくれました。We promise、という言葉の響きは私の心にやさしく沈み込み、今後の私を支える確かな原動力となるでしょう。飛行機の中では日本に帰るのがおっくうで仕方がありませんでしたが、さみしくはありませんでした。だってまた会いに行きますから。それまでにもっと英語を勉強して、次はもっと沢山のことをリサや先生に伝えられますように。
多くの方々のご協力によって学習院女子としても初めての挑戦となったCLCサマースクールを無事に終えることができました。この二週間の素晴らしい経験を与えてくださったチェルトナムの先生方、現地スタッフの方、引率の先生方、私の頼もしい仲間たち、このサマースクールにお力添えくださった全ての関係者の皆様に心よりお礼を申し上げます。(高2生徒)

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ハウスのラウンジ

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CLCの校舎

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バッキンガム宮殿の衛兵交代式

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