芸術鑑賞会
11月15日(金)、芸術鑑賞会が学習院創立百周年記念会館(目白キャンパス)にて開催されました。今回は「日本舞踊の世界」と題し、本校の卒業生で日本舞踊家の有馬和歌子(坂東寛十胤)氏らによる公演です。「新鹿の子」「新曲浦島」「石橋」は、上演前に見どころなどを解説していただきました。また「小道具体験」や「獅子の精の支度ができるまでを公開」の特別企画もあり、生徒たちは通常の公演では見られない日本舞踊の世界に引き込まれ、特別な時間を過ごしました。
「新鹿の子」衣装が3回変化します。
「石橋」の上演前には、解説を交えながら舞台上で「獅子の精」の支度を見せていただきました。
小道具体験に参加した生徒の感想です。
私が体験させていただいたのは「毛やり」という小道具です。お手本を見せてくださった坂東寛二郎先生は軽々と持ち上げてさまざまな動きをしていらっしゃいましたが、素人の私達が見様見真似でやってみようとすると、やりの重さに振り回され、周りの方々や自分にぶつけてしまいそうになりました。また、回しながら前に突き出す動きも、体の重心が持っていかれてしまいそうになるのでなかなかに難しかったです。お手本を隣で見ている時に思ったのですが、踊り手の皆様は皆常に低い重心と体幹が全くぶれていないようでした。やりの重さに一回一回頑張って耐えている私達とは違い、なんとはなく小道具を扱ってらっしゃるのはこの低い重心と体幹があるからなのだと気づきました。とても重たいかつらとお衣装を身につけ、重たい小道具を持って踊るにはこのしっかりとした体の基盤が必要不可欠なのでしょう。おそらく、客席から拝見するだけでは気づくことができなかったと思うので、間近で体験し、このことを知ることができたので非常に嬉しかったです。滅多にできない貴重な経験をさせていただき、光栄に思います。
小道具体験では、差金と呼ばれる棒の先に蝶がついた小道具を体験しました。最初見た時にはとても軽そうに見えましたが、実際に持ってみるととても重く、先生が教えて下さった通りに動かすのも難しかったです。他にも獅子の被り物など様々な小道具を見せて下さり、どれも見た目よりも重く、繊細な動きを見せる必要があるように感じました。舞踊家の方々がとても器用に扱っているのを見て、日頃からの努力と小道具を動かすために必要性な力の匙加減などの熟練された技術によって小道具が効果的に用いられ、舞台全体が華やかに見えるのだと実感しました。
私は「蜘蛛の糸」を体験しました。蜘蛛の巣を一瞬にして織り成すかのような演出は舞台の側から見ても美しく、板東寛二郎先生の説明で伺った通りクライマックスに相応しいものだと感じました。また実際に体験してみて、蜘蛛の糸を綺麗に広げるには、糸を思い切り投げる勢いと、丁度斜め上の角度を狙う細かさの両方の調節が必要だと実感しました。小道具体験を通じて日本舞踊の奥深さの一端を知ることができたように思います。このような貴重な場を提供して下さりありがとうございます。